東南アジアで透析を受けるには?タイ・ベトナム・フィリピンの調べ方と準備
「タイやベトナム、フィリピンなら日本から近いし、行けるだろうか」——透析を受けながらの旅行や出張を考えたとき、東南アジアは最初に候補に挙がりやすいエリアです。飛行時間が短く、日程も組みやすいためです。
ただ、近いからといって準備が軽くなるわけではありません。透析施設の予約は現地の受け入れ体制しだいで、必要な書類や費用の考え方も国によって変わります。この記事では、東南アジアで透析を受けたいと考えたときに、どの順番で何を確認していけばよいのかを整理します。国ごとの医療事情そのものではなく、渡航が決まるまでの進め方が中心です。
なお当社は医療機関ではなく、提携施設のご紹介・予約手配などを行う事業者です。透析を受けられるかどうか、どのような条件で受けるかは、渡航先の施設と主治医の判断によります。当社は世界各国の透析施設と連携しており、対応国・地域のページに掲載のない国でも対応できる場合がありますので、まずはご希望の渡航先をお知らせください。
最初にすることは、行き先を決めることではありません
渡航先や日程を先に固めてしまうと、あとから「その日程では透析の予約が取れない」ということが起こります。順番が大切です。
一般社団法人 全国腎臓病協議会(全腎協)は、海外旅行の流れとして「海外旅行が可能かどうか、かかりつけ医に相談する(旅行の約2〜4か月前)」を最初に置き、そのうえで旅行先・日程を決める、と案内しています。旅行先での透析回数についても「かかりつけ医の指示に従う」とされています。
つまり、主治医への相談が出発点です。ここで許可が得られてから、行き先と日程を詰めていきます。
スケジュールの目安
全腎協が示している海外旅行の準備の流れは、おおむね次のとおりです。
- 約2〜4か月前……かかりつけ医に相談する
- 旅行先・日程を決める(飛行時間や時差を考慮し、余裕のある日程で)
- 約2〜3か月前……旅行先の透析施設を探す
- 約2か月前……透析の予約を申し込む
- 現地施設から医療情報(メディカル・レポート)の作成依頼が来るので、かかりつけ医に書類作成を依頼する
- 海外旅行保険に加入する
- 帰国後の還付申請に必要な書類を確認・入手する
注意しておきたいのが書類の準備期間です。全腎協も「国や施設によっては肝炎やHIVなど感染症の検査を必要とするところもあり、時間がかかることも予想されるので余裕をもって準備する」と注意を促しています。東南アジアだから簡単、ということはありません。
書類そのものについては海外透析に必要な書類は?英文の診療情報提供書と準備スケジュールで詳しくご説明しています。
施設を探す方法は、大きく2つ
全腎協は施設の探し方について、「インターネットなどを利用し個人で探すか、旅行代理店や海外透析予約代行専門業者などを使って探す」と紹介しています。
個人で探す場合、現地の施設に直接連絡を取り、受け入れの可否、必要書類、費用、支払い方法までをやり取りすることになります。英語や現地語でのやり取りが必要になる場面もあります。時間に余裕があり、ご自身で進められる方であれば、この方法も選択肢のひとつです。
一方で、「日程が迫っている」「言葉のやり取りに不安がある」「複数の候補を比べたい」という場合は、手配を代行するサービスを使うほうが現実的なこともあります。当社のサポート内容は海外透析サポートとはにまとめてあります。
費用が国によって変わるのはなぜか
費用の目安について、全腎協は「透析費用は、国や地域によって異なります。アジアの場合で1回あたり2〜5万円、アメリカでは4〜5万円、オーストラリアは8万円程度が目安となります」と案内しています。
ただしこれはあくまで目安で、同じアジアでも幅があります。金額が変わる主な理由は次の3点です。
- 国・地域と施設の種類……医療制度が違い、公立か民間かでも差が出ます。同じ国でも都市や施設によって変わります
- 滞在日数と透析の回数……滞在が長くなれば必要な回数が増え、その分だけ費用も変わります
- 透析の内容……使用する機器や透析の条件、追加で必要になる検査・処置によっても変わります
支払い方法にも注意が必要です。全腎協は、支払いは現金・クレジットカード・トラベラーズチェックなど施設によって異なるため、事前に調べておくとよいと案内しています。複数回受ける場合は、初回か最終日にまとめて支払うケースが多いようだ、ともされています。現地で慌てないよう、予約の段階で確認しておきたいところです。
費用の考え方は費用についてのページでもご説明しています。
現地で戸惑いやすいこと
日本の透析室と勝手が違って驚いた、という声はよくあります。全腎協が挙げている注意点のうち、東南アジアでも当てはまりやすいものを挙げます。
▶ 施設の場所が分かりにくいことがある
全腎協は「大病院の中にあったり、分かりにくい看板だったりと、慣れない場所で透析施設を探すのは一苦労」として、宿泊するホテルで行き方を教えてもらうことをすすめています。初回は時間に余裕をもって向かうのが安心です。
▶ 椅子に座ったままの透析、着替えなしのことがある
全腎協によると、「海外の透析施設では、ベッドではなく椅子に座ったままの姿勢で透析を行うところも多い」「着替えをせずに来院のままの服装で治療を受けることがほとんど」とのことです。腕を出しやすく、長時間座っていても楽な服装で向かうとよいでしょう。
▶ 冷房が強いことがある
暑い地域ほど室内の冷房が強いことがあります。全腎協も「海外では冷房が非常によく効いている施設も多いです」として、上着や毛布、靴下などの防寒具を用意しておくことをすすめています。とくに暖かい地域では寒いほどという声もあるとのことですので、羽織るものは持っておきたいところです。
▶ 食事の管理は、いつもどおりに
旅行中は食事量が増えやすくなります。塩分やカリウムの多い食事には注意し、移動時間が長い場合は減塩・低カリウムの携帯食品を持参する方法も紹介されています。
帰国後の手続きまでが「準備」です
海外で受けた透析の費用は、現地でいったん全額を支払い、帰国後に申請することで、ご加入の公的医療保険から一部が払い戻される場合があります。全腎協も、申請に必要なものとして「療養費支給申請書」「診療内容明細書(日本語訳が必要)」「領収明細書(日本語訳が必要)」「治療費全額の領収書(原本)」などを挙げています。
ここで大切なのは、必要な書類は現地でしか受け取れないものがあるということです。帰国してから「明細をもらっていなかった」と気づいても取り寄せは簡単ではありません。渡航前に必要書類を確認しておいてください。
手続きの詳細は海外療養費とは?透析で海外へ行く前に知る払い戻しと申請の注意点でご説明しています。なお、支給の可否や金額は、ご加入の保険者の審査によって決まります。
タイ・ベトナム・フィリピンをお考えの方へ
当社は世界各国の透析施設と連携しており、アジアでは韓国・台湾・タイ(バンコクなど)・シンガポールなどに対応しています。対応国・地域のページに記載のない国についても、対応できる場合があります。ベトナムやフィリピンなど、掲載のない国をお考えの場合も、まずはご希望の渡航先をお知らせいただければ、対応可否と候補施設をお調べしてご案内します。
「この国で透析が受けられるか知りたい」というご相談だけでも構いません。ご相談・お見積りは無料です。渡航先が決まっていない段階でも、日程の組み方からご一緒に考えます。
ご確認ください
当社は医療機関ではなく、提携施設のご紹介・予約手配・各種サポートを行う事業者です。透析の可否・条件・費用は、渡航先や現地施設、主治医の判断、その時々の予約状況によって異なります。海外療養費の支給可否・金額は、ご加入の保険者の審査により決まります。
出典:一般社団法人 全国腎臓病協議会「腎臓病について|旅行について」(2026年8月時点)。本記事では、同ページの内容を要約・編集して紹介しています。


