海外透析に必要な書類は?英文の診療情報提供書と準備スケジュール
透析を受けながら海外へ行くとき、いちばん手間がかかるのが「書類の準備」です。渡航先の透析施設は、あなたがふだんどんな透析を受けているかを知らなければ受け入れの判断ができません。そのため、主治医に作成してもらう英文の医療情報が必要になります。さらに、帰国後の払い戻しに使う書類は現地でしか受け取れないものもあり、あとから取り寄せるのは簡単ではありません。この記事では、海外透析サポートのウーヴルCが、必要になる書類の種類と中身、準備を始める時期を整理してご説明します。
海外透析の書類は「行き」と「帰り」の2種類
海外で透析を受けるときに必要な書類は、大きく2つに分けて考えると整理しやすくなります。
ひとつは、渡航先の透析施設に提出する書類です。あなたの透析条件や検査結果を英文で伝えるもので、これが揃っていないと施設は受け入れの可否を判断しづらくなります。もうひとつは、帰国後の払い戻し(海外療養費)の申請に使う書類です。こちらは現地の医療機関に記入してもらうもので、日本に帰ってからでは取り寄せに手間がかかります。
準備のタイミングも役割もまったく違うので、「行きの書類」と「帰りの書類」を分けて考えておくと、抜け漏れが起きにくくなります。
渡航先の透析施設に提出する書類
▶ 中心になるのは英文の医療情報
渡航先の施設に出す中心的な書類が、英文の診療情報提供書(メディカル・レポート)です。全国腎臓病協議会(全腎協)の案内でも、旅行先の透析施設から医療情報の作成依頼がくるので、かかりつけ医に書類作成を依頼する、という流れが示されています(出典:一般社団法人 全国腎臓病協議会「旅行について」/2026年8月時点)。
ここで知っておきたいのは、渡航先の施設が独自の様式を指定し、そこに主治医が記入する形を求められることもあるという点です。日本の医療機関で使われている診療情報提供書をそのまま英訳すれば済む、とは限りません。どの様式で求められるかは施設によって異なるため、予約を進める過程で確認し、届いた書式を主治医に渡す、という順番になります。
▶ 記載される主な内容
様式は施設によって異なりますが、透析を続けるために必要な情報という点では共通しています。一般的には、次のような項目が含まれます。
▶ 原疾患・透析の開始時期・現在の全身状態
▶ ドライウェイト(透析後の目標体重)
▶ 1回あたりの透析時間・週の回数
▶ 使用しているダイアライザーや透析液の種類
▶ 血流量・除水量などの透析条件
▶ 血圧の状況
▶ 抗凝固薬をはじめとする使用中の薬剤
▶ シャント(バスキュラーアクセス)の位置と状態
▶ 直近の血液検査データ
▶ 感染症の検査結果
どの項目をどこまで記載するかは、渡航先の施設の求めと主治医の判断によります。ご自身の透析条件をふだんから把握しておくと、主治医への相談もスムーズです。透析条件の共有を含む渡航全体の進み方は、海外で透析は受けられる?旅行・出張でいつもの透析を続ける流れでも解説しています。
▶ 感染症の検査結果は早めに動く
意外と時間がかかるのが、感染症の検査結果です。全腎協の案内でも、国や施設によっては肝炎やHIVなど感染症の検査を必要とするところもあり、時間がかかることも予想されるので余裕をもって準備することが挙げられています(出典:一般社団法人 全国腎臓病協議会「旅行について」/2026年8月時点)。
検査結果には有効期限を設けている施設もあります。「いつ時点の結果が必要か」を予約の段階で確認しておくと、直前になって取り直しになる事態を避けられます。
帰国後の払い戻しに使う書類は、現地でしか受け取れない
もうひとつが、帰国後に海外療養費を申請するための書類です。前提として、海外療養費は渡航中にやむを得ず現地で診療を受けた場合を対象とする制度で、治療を目的として海外へ渡航し診療を受けた場合は支給対象にならないとされています(出典:全国健康保険協会「海外療養費」/2026年8月時点)。旅行や出張の途中で受ける透析がこれに当たるかどうかは一律ではなく、対象になるかどうかは加入している保険者の判断によります。渡航を計画する段階で、あらかじめ保険者に確認しておきましょう。
そのうえで、書類の話です。同協会の案内では、申請にあたり海外療養費支給申請書、様式A(医科)または様式C(歯科)、様式B(領収明細書)、領収書の原本、領収書と様式A(またはC)・様式Bそれぞれの日本語訳、渡航期間が確認できる書類(パスポート・査証・航空チケットのいずれかのコピー)、同意書が必要とされています。制度のしくみ、支給額の考え方、書類ごとの詳しい説明は、海外療養費とは?透析で海外へ行く前に知る払い戻しと申請の注意点でご説明しています。
渡航準備の観点でおさえておきたいのは、様式Aと様式Bは現地の医療機関に記入してもらう書類だという点です。同協会の案内でも、受診者本人などが記入することはできず、担当医に記入・署名を依頼するものとされています。帰国してから依頼すると時間も手間もかかるため、出発前に様式を入手して持参し、透析を受けたその場で記入してもらうのが安心です。申請には期限もあり、海外で治療費を支払った日の翌日から2年を過ぎると時効により申請できなくなるとされています。
なお、加入先が健康保険組合や市区町村の国民健康保険の場合は、必要書類や様式が異なることがあるため、渡航前にご自身の保険者へご確認ください。
いつから動く?準備のスケジュール
書類の準備は、思っているより早く動き出す必要があります。全腎協が示している目安をもとに、流れを整理します。
▶ 旅行の2〜4か月前:主治医に相談する
まず、渡航して差し支えないかを主治医に相談します。全腎協の案内では、海外旅行が可能かどうかをかかりつけ医に相談する時期として旅行の約2〜4か月前が挙げられています。渡航できるかどうかの判断は、体調や合併症の状況をふまえた主治医の判断によります。ここが決まらないと、施設の予約も書類の作成も先に進みません。
▶ 旅行の2〜3か月前:施設を探す(予約申し込みは約2か月前)
次に、滞在先で透析を受けられる施設を探します。全腎協の案内では、施設を探す時期の目安が旅行の約2〜3か月前、透析の予約申し込みが約2か月前とされています(出典:一般社団法人 全国腎臓病協議会「旅行について」/2026年8月時点)。
この段階で施設から医療情報の作成依頼が届くので、受け取ったら早めに主治医へ依頼します。渡航先の施設が医療情報を確認し、受け入れを認めてはじめて予約が固まる、という流れが一般的です。どの国のどの施設に対応できるかは、対応国・エリアをご覧ください。
▶ 出発直前:最新のデータをそろえる
出発が近づいたら、直前の透析記録や血液検査データのコピーを用意します。書類を送ったあとに透析条件が変わることもあるため、最新の状態が分かるものを手元に持っておくと安心です。あわせて、提出した書類の控えも持参しておきましょう。
書類の準備でつまずきやすいポイント
▶ 様式は施設ごとに違う
「英文の診療情報提供書を1通用意すればどこでも通る」というものではありません。施設が独自の様式を指定することもあり、複数の都市に滞在して別々の施設で透析を受ける場合は、それぞれの様式に対応する必要があります。滞在の予定が固まった段階で、何通必要になるかを見通しておくと安心です。
帰りの書類も同じです。協会けんぽの案内では、診療内容明細書と領収明細書は1ヶ月ごと、受診者ごと、医療機関ごと、入院・外来ごとに1枚ずつ、それぞれの医療機関での証明が必要とされています(出典:全国健康保険協会「海外療養費」/2026年8月時点)。滞在が月をまたぐ場合や、複数の施設で透析を受ける場合は必要な枚数がその分だけ増えるということです。現地で「まとめて1枚」にしてしまうと、あとから足りないことに気づく可能性があります。
▶ 作成にかかる日数と文書料
英文書類の作成にかかる日数や文書料は、医療機関によって異なります。診察のたびに少しずつ書いてもらう形になることもあり、想定より日数がかかる場合があります。依頼するときに、いつまでに受け取れるか・費用はいくらかをあわせて確認しておくと、渡航直前に慌てずに済みます。
▶ 原本とコピーの扱い
海外療養費の申請では領収書の原本が必要とされています。一方で、現地で受け取った書類は帰国後の手続きだけでなく、次回以降の渡航でも参考になります。提出する前に、すべての書類をコピーまたは撮影して手元に残しておくことをおすすめします。書類を紛失したときの再発行は、国によっては簡単ではありません。
海外透析の書類準備のご相談はウーヴルCへ
ここまで見てきたとおり、海外透析の書類は種類が多く、施設ごとに様式も違います。英語でのやりとりが必要になる場面もあり、「何から手をつければよいか分からない」と感じる方は少なくありません。
ウーヴルCは、透析を受けながら渡航される方の提携施設の予約手配から、渡航先とのやりとり、書類の準備までをサポートしています。渡航先が決まっていない段階、日程が固まっていない段階からのご相談でも結構です。ご相談・お見積りは無料です。海外透析の全体像は海外透析サポートとは、サポートの進み方はご利用の流れでご確認いただけます。よくあるご質問はFAQにまとめています。
ご相談はLINE、またはお問い合わせフォームから承っています。
※当社は医療機関ではありません。渡航の可否や透析の条件、書類に記載する内容は、主治医および渡航先の医療機関の判断によります。必要書類の種類や様式は、渡航先の施設・国、加入先の保険者によって異なり、変更されることもあります。海外療養費の支給の可否や金額は、加入先の保険者の審査・判断によります。最新の情報は、主治医および保険者(協会けんぽ・健康保険組合・市区町村など)の公表情報をご確認ください。


