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医療通訳とは?海外で透析を受けるとき言葉の不安をどう埋めるか

医療通訳とは?海外で透析を受けるとき言葉の不安をどう埋めるか

海外で透析を受けるとき、多くの方が最後まで気にされるのが「言葉が通じなかったらどうしよう」という点です。書類は英文で用意できても、当日その場で体調を伝えたり、スタッフからの説明を受け取ったりする場面は、どうしても出てきます。そこで頼りになるのが医療通訳です。この記事では、海外透析サポートのウーヴルCが、医療通訳とはどういう役割の人なのか、透析のどの場面で言葉が必要になるのか、そして言葉の不安を埋めるためにどんな手立てがあるのかを整理してご説明します。

医療通訳とは、どのような役割の人か

医療通訳は、単に「病院で言葉を訳せる人」ということではありません。厚生労働省がまとめた「医療通訳育成カリキュラム基準」では、医療通訳者の役割が次のように整理されています。

ひとつは、医療・保健分野の知識や語彙、能力と技能を持ち、診療等の場面において「言葉の媒介者として、話し手の意図を正確に理解して、聞き手にその内容を忠実に伝え、対話者間の効果的なコミュニケーションを可能にする」こと。もうひとつは、言語的・文化的・社会的に異なる医療従事者と患者等の間に入り、両者の相互理解を支援するため、必要に応じて専門家と患者の間の文化的橋渡しを行うことです(出典:厚生労働省ホームページ「医療通訳育成カリキュラム基準(育成カリキュラム実施要領)」平成29年9月版/令和3年11月一部改訂/2026年8月時点)。

なお、この基準は日本国内で外国人の患者に対応する医療通訳者を育てるためのものです。海外で日本語を話す患者を支える通訳が、そのまま同じ基準で養成されているわけではありません。ただ、医療の場で通訳者に求められる役割や心構えは、どちらの向きでも重なる部分が大きいと考えてよいでしょう。

▶ 「訳す人」であって、判断する人ではない

同じ基準では、医療通訳者に求められる倫理として、話し手の意図を正確に理解し忠実に訳すこと、すべての通訳利用者に対して中立・公平な態度を取ること、自身の専門的・言語的能力の限界を自覚し適切に判断することが挙げられています。

ここは大切なところです。通訳者は、患者に代わって治療の内容を決めたり、医学的な判断を加えたりする立場ではありません。透析の可否や条件を決めるのは、あくまで主治医と渡航先の医療機関です。通訳が入ることで解消できるのは「伝わらない」という不安であって、医療上の判断そのものではない、という前提を持っておくと、役割の期待がずれずに済みます。

▶ 守秘義務が前提になっている

同基準の倫理には、職務上知り得た情報等の秘密を保守し、プライバシーに配慮することも含まれています。病歴や検査データという、非常に立ち入った情報を扱うためです。この点は、あとで触れる「家族や知人に頼む」場合との大きな違いにもなります。

透析の場面で、言葉が必要になるのはどこか

「英語ができないと無理なのでは」と身構えてしまいがちですが、実際に言葉が要る場面は、いくつかに絞られます。どこで必要になるかが見えると、備え方も決めやすくなります。

▶ 透析が始まる前

全国腎臓病協議会(全腎協)は、海外の透析施設について「透析が始まる前に説明がある場合もあるので、少し早めに到着するようにしましょう」と案内しています(出典:一般社団法人 全国腎臓病協議会「旅行について」/2026年8月時点)。この「始まる前」が、言葉のやり取りがいちばん集中する時間帯です。

受付での本人確認、体重の測定、その日の除水量の確認、シャントの位置の確認、当日の体調の申告——といったことが短時間で進みます。伝える必要が出てくるのは、たとえば次のような内容です。

▶ ドライウェイト(透析後の目標体重)
▶ その日の体重と、希望する除水量
▶ シャント(バスキュラーアクセス)の位置と、避けてほしい部位
▶ 服用している薬、抗凝固薬の種類
▶ アレルギーや、過去に起きたトラブル
▶ 前回の透析からの日数と、当日の体調

全腎協は、国内で施設を変えるときの話として、患者自身の透析条件(シャントの場所、血圧、ドライウエイト、透析時間、血流量など)が明確であればどこの施設でもスムーズに透析を受けられる、と説明しています。海外の施設でも、伝えるべき項目が自分の中で整理できているかどうかは同じように効いてきます。言葉の問題は、「何を伝えるか」が決まっているかどうかと、実は半分ぐらい重なっています。

▶ 透析の最中と、終わったあと

透析中に気分が悪くなった、血圧が下がってきた感じがする、穿刺したところが痛む——こうした変化は、その場ですぐ伝えたいことです。事前に用意した書類では対応できない部分で、通訳や、あらかじめ決めておいた合図が効いてきます。

終了後には、会計と、次回の予約の確認があります。帰国後の海外療養費の申請では、現地で受け取る領収書や診療内容の明細が必要になるため、その場で受け取れているかを確認するのも大事な場面です。必要な書類と申請の流れは海外療養費とは?透析で海外へ行く前に知る払い戻しと申請の注意点でご説明しています。

言葉の不安を埋める4つの手立て

通訳を手配するかどうかだけが選択肢ではありません。組み合わせて考えるのが現実的です。

▶ ① 書類で土台をつくる

いちばん基礎になるのが、主治医に作成してもらう英文の診療情報提供書です。透析条件や検査データが文書で先に伝わっていれば、当日その場で言葉にしなければならない量は大きく減ります。書類の中身と準備のスケジュールは海外透析に必要な書類は?英文の診療情報提供書と準備スケジュールで詳しくご説明しています。

▶ ② 医療通訳を手配する

そのうえで、当日のやり取りに通訳を入れる方法です。施設に同行してもらう形のほか、電話やオンラインでつなぐ形もあります。どの形を取れるかは国や地域、施設の方針によって変わるため、渡航先が決まった段階で早めに確認しておくのが安心です。全腎協が示す準備の目安では、かかりつけ医への相談が旅行の約2〜4か月前、施設探しが約2〜3か月前、透析の予約申し込みが約2か月前とされています。通訳の手配も、この流れの中で一緒に進めておくと慌てずに済みます。周遊型の旅行のように複数の都市で透析を受ける場合は、施設の数だけ確認する相手が増えます。日程の組み立て方はヨーロッパで透析を受けるには?周遊旅行と透析スケジュールの組み方でご説明しています。

なお、旅行中に急な体調不良やケガで現地の医療機関にかかる場合も、言葉の問題は同じように出てきます。透析とは別の枠組みになりますが、当社では海外医療手配サポートとして、医療機関の手配とあわせて医療通訳の手配もお受けしています。

▶ ③ 施設側がどの言語に対応できるかを先に確かめる

施設によっては、日本語や英語での対応にある程度慣れているところもあります。逆に、現地語だけという場合もあります。「英語ならある程度通じる」と思い込まずに、どの言語でどこまで対応できるのかを予約の段階で確認しておくことをおすすめします。ここが分かっていれば、通訳をどの場面に入れるかも決めやすくなります。

▶ ④ 自分でできる備えをしておく

通訳が入る場合でも、手元に自分用のメモがあると心強いものです。ドライウェイトや除水量などの数字は紙に書いて見せれば言語を問わず伝わります。伝えたいことを短い文で書き出しておくのも有効です。

用語集としては、外務省が「世界の医療事情」のページで「もしもの時の医療英語」などの資料をPDFで公開しています。ただし同ページには、掲載しているのは現地の医務官が直接調査できた情報でありすべての国と地域をカバーするものではないこと、2年に1度を目処に改定しているため一部は最新情報を反映できていない可能性があることも明記されています(外務省「世界の医療事情」/令和7年6月11日掲載・2026年8月時点で確認)。参考として使いつつ、実際の手続きは渡航先の施設に確認する、という使い分けが安全です。

家族や知人に通訳を頼むときに気をつけたいこと

ご家族に英語が得意な方がいる場合、その方に頼むという選択も当然あります。ただ、いくつか知っておいていただきたい点があります。

ひとつは、医療の場面で使う語彙は、日常会話とはかなり違うということです。ドライウェイト、除水、シャント、抗凝固薬といった言葉は、英語が話せる方でも初めて訳す種類の言葉になります。もうひとつは、同行するご家族自身も慣れない土地で疲れているという点です。旅行中ずっと通訳役を担うのは、想像以上に負担がかかります。

さらに、先に触れた中立性と守秘義務の観点もあります。ご本人が伝えたいことを、家族が気遣いから和らげて伝えてしまう、ということも起こり得ます。

現実的なのは、組み合わせです。日常の場面はご家族に、初回の透析や、体調について詳しく伝えたい場面は通訳に——というように、必要なところに絞って手配する考え方であれば、負担も費用も抑えやすくなります。

言葉の不安も含めて、ウーヴルCにご相談ください

ウーヴルCの海外透析サポートでは、渡航先の提携施設の予約手配や、英文の診療情報提供書など提出書類の準備をお手伝いしています。あわせて、必要に応じて医療通訳を手配し、現地でのやり取りや、万一のトラブル時の連絡・対応もお手伝いします。英語が話せないから諦めていた、という方もご相談いただけます。

どの国・地域で、どの形の通訳をご用意できるかは、渡航先と時期によって変わります。まずは行き先とご予定をお聞かせください。ご相談・お見積りは無料です。サポートの全体像は海外透析サポートとは、進み方はご利用の流れ、よくいただくご質問はよくあるご質問でご確認いただけます。

ご相談はLINE、またはお問い合わせフォームから承っています。

出典:厚生労働省ホームページ「医療通訳育成カリキュラム基準(育成カリキュラム実施要領)」(https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/001381274.pdf)。本記事では、同基準の内容を要約・編集して紹介しています。

※当社は医療機関ではありません。渡航の可否、旅行中に必要な透析の回数や条件は、主治医および渡航先の医療機関の判断によります。受け入れの可否・対応できる言語・費用・必要書類は国や施設によって異なり、変更されることもあります。海外療養費の支給の可否や金額は、ご加入の公的医療保険の保険者による審査で決まります。最新の情報は、主治医、渡航先の医療機関、ご加入の保険者にご確認ください。

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