グアム・サイパンで透析を受けるには?短い日程の組み方と入国準備
「近場のリゾートなら、透析をしながらでも行けるだろうか」——海外旅行を考えたとき、グアムやサイパンを思い浮かべる方は多いと思います。日本から近く、短い日程でも組みやすい行き先です。
ただ、近いことと、準備が軽く済むことは別の話です。日程が短い旅ほど、日本での透析日と現地での透析日の重ね方が大切になりますし、入国の手続きや薬の持ち込みには、グアム・サイパンならではの決まりもあります。この記事では、グアム・サイパンで透析を受けながら旅行するときに、どの順番で何を確認しておけばよいのかを、海外透析サポートのウーヴルCが整理します。
なお当社は医療機関ではなく、提携施設のご紹介・予約手配などを行う事業者です。海外へ行ってよいかどうか、現地で何回透析を受けるかは主治医の判断、受け入れの可否や条件は渡航先の施設の判断によります。また、この記事は、渡航先の透析施設で透析を受ける場合を前提にしています。腹膜透析(CAPD・APD)を受けている方は、ここでご紹介する日程の組み方などがそのまま当てはまらないことがあるため、まず主治医・通院先にご相談ください。
グアムは「近くて時差が小さい」行き先です
グアム政府観光局は、日本とグアムの時差を「わずか1時間」とし、グアムは日本より1時間進んでいると案内しています。フライト時間は約3時間半で、成田・名古屋・大阪・福岡の4都市から定期直行便が運航されているとしています(2026年9月時点の同局の案内)。
透析を受けている方にとって、時差が小さいことには意味があります。時差の大きい渡航先では、前回の透析から次の透析までの実際の時間が、行きと帰りで伸びたり縮んだりします。時差が1時間であれば、こうしたずれは小さく、日本での透析の間隔に近い感覚で日程を考えやすくなります。時差と透析の間隔の関係は人工透析で飛行機に乗るときの注意点でくわしくご説明しています。
ただし、飛行機は遅れることもあります。時差が小さくても、移動の日に余裕を持たせておくことは変わりません。全腎協(一般社団法人 全国腎臓病協議会)も、海外旅行を計画する際は、飛行時間や時差を考慮して余裕のある日程を組むよう案内しています。
短い日程ほど、透析日と旅程の重ね方を先に決めます
グアム・サイパンは、日本から近く、短い日程でも組みやすいエリアです。ただ、日程が短いと、出発日と帰国日の位置によって、現地で受ける透析の回数や日にちが大きく変わります。
▶ 現地での回数は、主治医の指示で決まります
全腎協は、旅行先・日程を決める段階で「旅行先での透析回数はかかりつけ医の指示に従う」としています。短い旅だからといって、ご自身の判断で透析の日をずらしたり、回数を減らしたりすることは避けてください。旅程の案ができた段階で、次のような点を主治医と通院先に確認しておくと、現地の施設探しにそのまま使えます。
- 出発前、日本で最後に透析を受ける日と時間帯
- 現地で透析を受ける日と回数、希望する時間帯
- 帰国後、日本で最初に透析を受ける日(通院先の予約が取れるか)
- フライトが遅れたり欠航したりしたときに、誰に連絡し、どう動くか
このうち帰国後の透析日は、見落とされやすい項目です。帰国便の到着時刻と、通院先で受けられる曜日・時間帯を突き合わせておきましょう。
▶ 「近いから直前でも大丈夫」ではありません
準備にかかる期間は、行き先が近くても大きくは変わりません。全腎協は、かかりつけ医への相談を旅行の約2〜4か月前、旅行先の透析施設探しを約2〜3か月前、透析の予約申し込みを約2か月前という目安で示しています。また、国や施設によっては肝炎やHIVなどの感染症の検査が必要なところもあり、時間がかかることも予想されるので、余裕をもって準備するよう案内しています。
施設に提出する書類の準備も、この期間に進めます。主治医に作成をお願いする英文の書類については、海外透析に必要な書類は?英文の診療情報提供書と準備スケジュールにまとめています。
入国の手続き:短期の旅行ならESTAかG-CNMI ETAを用意します
グアムはアメリカの準州で、サイパンは北マリアナ諸島にあります。日本国籍の方がこれらの地域へ行くときは、パスポートのほかに、入国のための手続きが必要です。
▶ 45日以内の観光なら「G-CNMI ETA」が使えます
外務省の海外安全ホームページは、日本国籍の方がグアム-北マリアナ諸島連邦査証免除プログラムに加盟している航空会社を利用して、短期の商用や観光目的でグアムやサイパン等の北マリアナ諸島に渡航する場合、米国査証やESTAを取得していなくても、45日以内の滞在であれば「G-CNMI ETA」(無料)を取得することで入国できると案内しています。申請は、航空機搭乗の7日前までに行うことが推奨され、遅くとも5日前までに取得するよう案内されています。
もうひとつの方法が、アメリカ本土やハワイへの渡航でも使われる「ESTA」です。グアム政府観光局は、米国国土安全保障省 税関・国境取締局がESTAによるグアム入国を推奨しており、ESTAを取得していればG-CNMI ETAなどの入国書類は免除になると案内しています。どちらを使うかは、利用する航空会社(G-CNMI ETAは加盟航空会社の利用が条件)や、ご自身の旅程、ほかにアメリカへ行く予定があるかなどで選ぶことになります(米国ビザをお持ちの方や、長期の滞在などでこれらの対象にならない方は、米国ビザでの入国になります)。
▶ パスポートの残り期間と、電子の税関申告書
グアム政府観光局は、パスポートの残存期間について、入国時に45日以上あることが望ましいとしています。また、グアムへの入国には電子税関申告書(EDF)の記入が必要で、グアム到着の72時間前から申請できると案内しています。
なお、ここで紹介したパスポートの残存期間・電子税関申告書と、次の見出しの薬の持ち込みの案内は、グアム政府観光局によるグアムについてのものです。サイパンへ行く場合は、サイパン(北マリアナ諸島)の公式案内もあわせてご確認ください。入国の決まりは変わることがあります。出発前に、外務省やグアム政府観光局などの最新の案内を必ずご確認ください。
ふだんの薬は、英文の証明書と一緒に持っていきます
透析を受けている方は、ふだんから飲んでいる薬がある方も多いと思います。薬の持ち込みについて、グアム政府観光局は、病院で処方された薬を持参する場合は、持参薬を証明する英文の「薬剤携行証明書」があると安心だと案内しています。滞在日数に見合う量であればほとんどの場合問題ないとしつつ、医薬品の持ち込みは年々厳しくなっており、没収や別室へ通されるなどのトラブルが起きるケースもあると説明しています。証明書はコピーを取って、帰りの分も含め2部用意しておくと安心だとしています。持っていく薬が持ち込めるかどうかは、グアム税関へ問い合わせるよう案内しています。
英文の証明書は主治医などにお願いすることになるため、透析施設に送る書類と一緒に、早めに相談しておくとスムーズです。また、外務省の海外安全ホームページは、医療用麻薬を含む医薬品を携帯して持ち込む・持ち出す場合の手続きについて、厚生労働省のホームページを確認するよう案内しています。
飛行機に乗るときの薬の持ち方(預け荷物でなく手荷物に入れる、など)は、飛行機の注意点の記事で触れています。
急な体調不良に備える:医療事情と保険
予約した透析とは別に、旅行中に急に具合が悪くなることもありえます。外務省の海外安全ホームページは、グアムの医療事情について「米国本土と比較して安心して医療サービスを受けられる状況にはありません」としたうえで、特に専門科については人材や医療機材が不足しており、脳や心臓など重度の疾患に対処することは困難だとしています。そのため、重大で長期の治療が必要な場合には日本に一時帰国して治療を受けることになりかねないとして、緊急移送を含む十分な補償内容の海外旅行保険に加入することを勧めています。海外旅行保険に入っていない場合は、高額な医療費を全額自己負担することになるとも注意を促しています。
同じページでは、グアムの緊急時(警察・救急・消防)の電話番号として「911」が案内されています。サイパンへ行く場合の医療事情や緊急連絡先は、サイパン(北マリアナ諸島)についての公式情報でもご確認ください。あわせて、旅行中に体調の異変があったとき、現地の透析施設や日本の主治医にどう連絡するかも、出発前に確認しておきましょう。
一方で、海外旅行保険には、透析を受けている方がとくに知っておきたい点があります。たとえば三井住友海上のFAQでは、所定の特約をセットしていれば、旅行前から治療を受けていた病気が旅行中に急に悪化して治療を受けた場合にも保険金を支払えるとしています。そのうえで、透析など旅行中にも継続して支出することが予定されていた費用は、保険金の支払い対象外とされています。また、旅行の目的が病気の治療や症状の緩和である場合や、旅行開始前に渡航先で医師の治療を受けることが決まっていた場合(診察の予約や入院の手配などが行われていた場合を含む)なども、支払い対象外とされています。このFAQに沿って整理すると、予定している透析の費用そのものは旅行保険の対象外で、持病の急な悪化への備えも、特約の有無だけでなく支払い対象外となる条件まで確認が必要です。補償の範囲は保険会社や商品によって異なるため、現地で透析を予約して渡航する場合の扱いも含め、加入前に保険会社へご確認ください。くわしくは人工透析でも海外旅行保険に入れる?補償の範囲と海外療養費との違いをご覧ください。なお当社は、保険の募集・代理店業務を行う事業者ではありません。
現地で支払った透析の費用は、帰国後に申請することで、ご加入の公的医療保険から「海外療養費」として一部が払い戻される場合があります。対象になるかどうか、いくら戻るかは保険者の審査で決まるため、渡航前に保険者へ確認しておきましょう。制度のしくみは海外療養費とは?透析で海外へ行く前に知る払い戻しと申請の注意点で解説しています。
もうひとつ、服装の準備もしておきましょう。グアム政府観光局は、年平均気温が約26℃の常夏の島である一方、ホテルやレストランでは冷房が効いているので、薄手のジャケットやカーディガンを用意しておくと重宝すると案内しています。透析の時間は長く座ったままになるため、羽織れるものがあると安心です。
グアム・サイパンでの透析のご相談
ウーヴルCでは、グアム・サイパンを含む各国・地域の提携透析施設への予約手配と施設とのやり取りの代行、英文の診療情報提供書など書類の準備のサポート、帰国後の海外療養費申請に必要な書類の準備・翻訳までをお手伝いしています。対応している国・地域は対応国一覧、ご相談から帰国後までの進み方はご利用の流れでご確認いただけます。
現地の透析費用は施設や回数、透析の内容によって変わるため、渡航先と日程をうかがったうえで、想定される現地の費用と当社のサポート費用の目安をお見積りとしてご提示します。費用の考え方は費用についてでご説明しています。「グアムに行きたいが、日程をどう組めばよいか分からない」という段階のご相談でも構いません。ご相談・お見積りは無料です。
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当社は医療機関ではなく、提携施設のご紹介・予約手配・各種サポートを行う事業者です。また、保険の募集・代理店業務を行う事業者ではありません。本記事は一般的な情報の整理であり、個別の医学的な判断に代わるものではありません。海外へ行ってよいか、透析の回数や条件は、必ず主治医の指示に従ってください。透析の可否・条件・費用は、渡航先や現地施設、主治医の判断、その時々の予約状況によって異なります。海外療養費の支給可否・金額は、ご加入の保険者の審査により決まります。入国の手続きや薬の持ち込みの決まりは変わることがあるため、出発前に最新の公式情報をご確認ください。
出典:外務省 海外安全ホームページ「グアム 安全対策基礎データ」/2026年9月時点、グアム政府観光局「グアムの基本」「グアムへの入国」(2026年9月時点)、一般社団法人 全国腎臓病協議会「腎臓病について|旅行について」(2026年9月時点)、三井住友海上 よくあるご質問 No.1480(2026年9月時点)。本記事では、各ページの内容を一部要約・編集して紹介しています。


