透析を受ける方の海外旅行の持ち物リスト|機内・透析の日・帰国後に分けて確認
海外旅行の荷造りは、楽しみな時間であると同時に「何か忘れていないか」が気になるものです。透析を受けている方の場合は、ふだんの旅行の持ち物に加えて、透析のための書類や、現地の透析施設で過ごす時間の備え、帰国後の手続きに使う書類まで、気を配るものが増えます。
この記事では、透析を受けている方の海外旅行の持ち物を、「出発前に用意する書類」「機内に持ち込む手荷物」「透析の日に施設へ持っていくもの」「帰国まで捨てずに持ち帰るもの」の4つの場面に分けて、海外透析サポートのウーヴルCが整理します。
なお当社は医療機関ではなく、提携施設のご紹介・予約手配などを行う事業者です。海外へ行ってよいかどうか、渡航中の透析の回数や条件は主治医の判断、現地での受け入れの可否や条件は渡航先の透析施設の判断によります。この記事は、渡航先の透析施設で透析を受ける場合を前提にしています。腹膜透析(CAPD・APD)を受けている方は、そのまま当てはまらないことがあるため、持ち物や準備について主治医・通院先にご相談ください。
持ち物は「使う場面」で分けて考えます
透析を受けながらの海外旅行では、同じ書類でも使う場面が何度か出てきます。たとえば予約の内容が分かる書面は、出発前に受け取り、機内では手元に置き、透析の日には施設に持っていきます。現地で受け取る領収書は、帰国後の申請まで大切に持ち帰らなければなりません。
「スーツケースに入れるもの」と「手元に置くもの」を分けるだけでなく、その持ち物をいつ使うかで考えておくと、必要な場面で手元にない、帰国してから足りないことに気づく、といった失敗を防ぎやすくなります。
① 出発前に用意する書類
持ち物の準備は、荷造りより前、書類をそろえる段階から始まっています。全国腎臓病協議会(全腎協)は、海外旅行の準備の流れとして、旅行先の透析施設から医療情報(メディカル・レポート)の作成依頼がくるので、かかりつけ医に書類作成を依頼すること、国や施設によっては肝炎やHIVなど感染症の検査を必要とするところもあり、時間がかかることも予想されるので余裕をもって準備することを挙げています。
- 英文の診療情報提供書(メディカル・レポート):現地の施設に送るものとは別に、控えを手元に持っておくと安心です。書類の中身と準備の時期は海外透析に必要な書類は?英文の診療情報提供書と準備スケジュールでご紹介しています。
- 感染症の検査結果:施設から求められた場合に、提出したものの控え
- 直近の透析記録や血液検査データのコピー:書類を送ったあとに透析条件が変わることもあるため、出発が近づいたら最新の状態が分かるものを手元に
- 予約の内容が分かる書面:日時・施設名・住所・支払い方法などが書かれたもの。予約のときに確認したい項目は海外透析の手配は個人でできる?自分で予約する手順とサポートの使いどきのチェックリストも参考になります。
- 海外療養費の申請に使う様式:次の項目で詳しくご説明します。
▶ 海外療養費の様式は、渡航先の言語のものを持っていきます
全腎協は、旅行前の準備のひとつに「還付申請書類の確認・入手」を挙げ、健康保険の種類や自治体によって必要書類が異なる場合があるので、事前に確認するよう案内しています。なお海外療養費は、渡航中にやむを得ず現地で診療を受けた場合を想定した制度で、旅行や出張の途中で受ける透析が対象になるかどうかは一律ではなく、ご加入の保険者の判断によります。様式を入手するときに、対象になるかどうかもあわせて確認しておきましょう。
協会けんぽの場合、現地の医療機関に記入してもらう「様式A(診療内容明細書)」と「様式B(領収明細書)」は、英語・韓国語・中国語・タイ語・ベトナム語・スペイン語・ポルトガル語の様式がホームページに用意されています。また、これらの書類は被保険者や受診者などが記入することはできず、担当医に記入・署名を依頼するよう求めています(2026年10月時点)。渡航先で使われている言語の様式があれば、それを印刷して持っていくと、現地の施設にお願いしやすくなります。該当する言語の様式がない場合は、どの様式を使えばよいかを出発前にご加入の保険者へ確認しておくと安心です。
健康保険組合や国民健康保険など、協会けんぽ以外に加入している方は、様式や必要書類が異なることがあり、協会けんぽの様式がそのまま使えるとは限りません。出発前に、ご加入の保険者へ確認しておきましょう。
② 機内に持ち込む手荷物
預け入れ荷物は、乗り継ぎや到着の遅れで手元に届くのが遅れることもあります。体調や透析に関わるものは、手荷物にまとめておくと安心です。
- ふだん飲んでいる薬と、薬の情報が分かるもの:薬を手荷物に入れる理由や、時差のある現地での飲み方の確認については人工透析で飛行機に乗るときの注意点|時差・水分・機内食・長時間フライトでご紹介しています。薬の持ち込みの決まりは国によって異なるため、渡航先の公式情報もご確認ください。
- ①の書類一式:現地に着いてすぐ透析の日が来ることもあるため、スーツケースではなく手元に
- 減塩・低カリウムの携帯食品:全腎協は、移動時間が長い場合は、減塩・低カリウムのパンやスナックなどの携帯食品を持参すると便利だとしています。渡航先によっては食品の持ち込みに決まりがあるため、機内で食べきれる量にしておくと安心です。
- 体温調節しやすい羽織もの
③ 透析の日に施設へ持っていくもの
現地の透析施設で過ごす時間は、日本の通い慣れた施設とは勝手が違うことがあります。全腎協が「旅行中に注意すること」として挙げている点をもとに、透析の日の持ち物を整理します。
▶ 施設の場所が分かるものと、予約の書面
全腎協は、予約した透析施設の場所と行き方をあらかじめ確認するよう勧め、大病院の中にあったり分かりにくい看板だったりするので、宿泊するホテルなどで行き方を教えてもらうとよいとしています。施設名と住所を書いた紙や予約の書面を持っておくと、道を尋ねるときやタクシーに乗るときにも見せられます。また、透析が始まる前に説明がある場合もあるので、少し早めに到着するよう案内しています。
▶ 冷房への備えと、治療を受けやすい服装
全腎協によると、海外では冷房が非常によく効いている施設も多く、特にハワイなど暖かい地域では寒いほどという話もあるとして、上着や毛布、靴下などの防寒具を用意しておくとよいとしています。また、海外の透析施設では、ベッドではなく椅子に座ったままの姿勢で透析を行うところも多く、着替えをせずに来院のままの服装で治療を受けることがほとんどなので、治療を受けやすい服装がよいとしています。暖かい地域へ行くときほど、透析の日のバッグに羽織るものを1枚入れておきましょう。
▶ 支払いの手段と海外療養費の様式
海外での透析治療費は、透析を受けた時点ではいったん実費を支払います。全腎協は、支払い方法は現金やクレジットカードなど施設によって異なるので事前に調べておくこと、複数回透析を受ける場合は初回か最終日にまとめて支払うケースが多いようだと紹介しています。予約のときに確認した支払い方法に合わせて、必要な手段を用意しておきましょう。
①で用意した海外療養費の様式も、透析の日に持っていきます。協会けんぽは、様式A・様式Bについて、1か月ごと、受診者ごと、医療機関ごと、入院・外来ごとに1枚ずつ、それぞれの医療機関での証明が必要としています。複数の施設で透析を受ける場合や、滞在が月をまたぐ場合は、施設ごと・月ごとに記入をお願いすることになるため、その分の様式を印刷して持っていきましょう。
▶ 軽食が出るかも事前に確認を
全腎協は、透析中に軽食が出る施設もあるとして、事前に食事が出るかどうかを確かめておくよう案内しています。日本の通院先と同じとは限らないため、予約のときに一緒に確認しておくと、当日の食事の予定が立てやすくなります。旅行中の食事も、塩分やカリウムの多いものに注意するなど、ふだんの自己管理を続けることが大切です。
④ 帰国まで捨てずに持ち帰るもの
旅行の最後に忘れやすいのが、帰国後の申請に使う書類です。協会けんぽの案内で申請に必要とされている書類のうち、現地で受け取るものと、帰国まで捨てずに残しておくものは次のとおりです(2026年10月時点)。
- 現地の医療機関に記入してもらった様式A(診療内容明細書)・様式B(領収明細書)
- 領収書の原本(日本語訳を添えます)
- 受診した期間の渡航の事実が確認できる書類(パスポートの氏名・顔写真のページと出入国スタンプのページのコピー、査証のコピー、航空チケットのコピー(eチケット控えを含む)のいずれか)
このほか、海外療養費支給申請書や同意書、様式A・様式Bの日本語訳なども必要です(帰国後に用意します)。
現地で受け取った書類は、旅の途中でなくさないよう、まとめて入れておく封筒やファイルを1つ決めておくと安心です。帰国後に提出する前に、コピーや撮影で控えを残しておくことも、必要書類の記事でおすすめしています。
なお協会けんぽは、海外で治療費を支払った翌日から2年を経過すると、時効により申請できなくなるとしています。審査にも通常数か月かかるとされています。帰国して落ち着いたら、早めに手続きを進めましょう。海外療養費は、療養(治療)を目的に海外へ渡航して受けた診療は対象にならないなど、制度上の条件があります。しくみと注意点は海外療養費とは?透析で海外へ行く前に知る払い戻しと申請の注意点で解説しています。支給の可否や金額は、ご加入の保険者の審査によって決まります。
出発前の持ち物チェックリスト
ここまでの内容を、場面ごとの一覧にまとめます。ご自身に必要なものは、主治医や通院先の指示に合わせて書き足してお使いください。
- 出発前に用意:英文の診療情報提供書の控え/感染症の検査結果の控え(求められた場合)/直近の透析記録・血液検査データのコピー/予約の内容が分かる書面/渡航先の言語の海外療養費の様式(ご加入の保険者に確認)/海外旅行保険の加入内容と緊急連絡先が分かるもの(加入している場合)/現地の透析施設・主治医や通院先・渡航先の救急の番号などをまとめた連絡先の一覧(海外旅行中に体調を崩したときの備えでご紹介しています)
- 機内の手荷物:ふだんの薬と薬の情報が分かるもの/書類一式/減塩・低カリウムの携帯食品/羽織もの
- 透析の日のバッグ:施設名と住所のメモ・予約の書面/上着や毛布・靴下などの防寒具/治療を受けやすい服装/施設に合わせた支払いの手段/海外療養費の様式
- 帰国まで持ち帰る:記入してもらった様式A・様式B/領収書の原本/渡航期間が分かる書類(eチケットの控えなど)
書類の準備から帰国後まで、ご相談いただけます
ウーヴルCでは、渡航先の透析施設の予約手配に加えて、英文の診療情報提供書など現地施設へ提出する書類の準備・翻訳、帰国後の海外療養費の申請に必要な書類の準備・翻訳までをお手伝いしています。「何を持っていけばよいか」は、行き先の国や施設、滞在の長さによっても変わります。準備を進めるなかで迷うことがあれば、お気軽にお尋ねください。
手配の進み方はご利用の流れ、対応している国・地域は対応国一覧でご確認いただけます。ご相談・お見積りは無料です。
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当社は医療機関ではなく、提携施設のご紹介・予約手配・各種サポートを行う事業者です。本記事は一般的な情報の整理であり、個別の医学的な判断に代わるものではありません。海外へ行ってよいか、透析の回数や条件、旅行中の食事・水分・薬については、必ず主治医の指示に従ってください。現地での受け入れの可否・条件・費用は、渡航先の透析施設の判断や予約状況によって異なります。海外療養費の支給可否・金額は、ご加入の保険者の審査により決まります。薬や食品の持ち込み、各制度の内容は変わることがあるため、出発前に最新の公式情報をご確認ください。
出典:全国腎臓病協議会(全腎協)「旅行について」/2026年10月時点、全国健康保険協会(協会けんぽ)「海外療養費」/2026年10月時点。本記事では、各ページの内容を一部要約・編集して紹介しています。


